国税OB税理士が話す酒のツマミになるかもしれない税金の話
G1が始まりました
競馬好きの方、いよいよ今年もG1が始まりましたね。
2月19日東京競馬場で行われた、フェブラリーS(ダート1600M)は1番人気のレモンポップがその期待に見事にこたえて勝ちました。
福永祐一騎手は国内G1最後の騎乗だったようです。今後は調教師として競馬界でまたさらなる活躍をされるのでしょう。
私はというと、すっかり忘れていましたので、馬券が買えませんでした。その分とりあえず負けていないという結果になりました。
競馬といえば皆さんご存じの通り、公営ギャンブルになりますね。
公営ギャンブルとは
法律によって,特殊法人や地方公共団体による施行が許可された賭け事。公営競技,公営賭博ともいわれる。競馬,競輪,競艇,オートレースの 4収益事業がそれにあたり,規制する法律として,それぞれ競馬法,自転車競技法,モーターボート競走法,小型自動車競走法がある。特殊法人の日本中央競馬会が施行する中央競馬を除き,地方競馬,競輪,競艇,オートレースの施行権は,都道府県や総務省が指定した市町村など地方公共団体だけに与えられている。投票権売上額の 75%は払い戻され,残りの 25%から施行の経費,各事業の振興会(地方競馬全国協会,JKA,日本財団)への交付金,地方公共団体金融機構(→公営企業金融公庫)への公営競技納付金を差し引いた収益金が,地方自治体の財政資金となる。中央競馬の場合も 75%は払戻金にあてられ,収益金は国庫納付金として政府に納められる。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「公営ギャンブル」の解説より) |
なるほどこれによると、競馬の場合には投票権売上額の75%がわけられているのですね。では優勝賞金はどのように分かれているのでしょうか。
優勝賞金の分け方
馬 主 80% 調教師 10% 騎 手 5% 厩務員 5% |
今回のフェブラリーSは1着の場合、本賞金だけでも1億2千万円ですから、優勝した坂井瑠星騎手はこのレースだけで6百万円の本賞金をゲットしたことになります。なんともすごい世界ですね。
さてさて、今回の本題に入ります。馬券当たった人は当然いますよね?競馬番組でも
出演者のKさんが「WIN5」という、その日の対象5レースの1着馬をすべて当てるという馬券を購入し、見事に的中させていました。しかもなんとKさん、2週連続で的中らしいです。マジっすか・・・。
馬券って当たったら税金の対象になるのでしょうか?
少しくらいならいいんじゃないの?いや、そもそも絶対バレるの?・・・。
皆さん人それぞれの思いがあるのではないでしょうか。
ある程度競馬の知識・情報をお持ちの方であれば、最高裁判所までいった争いがあった
事件が何件か起こり、国側(課税当局)が勝ったり、逆に負けたりしたことを記憶して
おられるのではないでしょうか。
勝ち馬馬券は税金の対象
一般的には競馬の払戻金は「一時所得」とされており、この所得になると、そのレースで購入した当たり馬券の購入額のみが経費になるということです。
つまり、その日の第1レースからずっと10万円分の単勝馬券を購入し、第10レースまでに総額100万円負けたとします。その後、第11レースで購入した単勝馬券(10万円)が的中して200万円払い戻しを受けた場合には、一時所得の対象は200万円ですが、この経費は第11レースで使った10万円のみなのです。当たり馬券の購入費のみが経費となります。え、またまたまじっすか・・・。第11レースまでに110万円使って、200万円の払戻があったんだから、差し引き90万円じゃないの?違うんですよ・・・。
誤)200万円-110万円=90万円
正)200万円-10万円=190万円
なんともむごい仕打ちです。
実はこれに異をとなえ裁判した結果、納税者側が勝った事件があったのです。裁判所側が「一時所得」ではなく「雑所得」と認定したことにより国側が負けたわけですが、その後国側は「所得税基本通達」を改正し、簡単にいうとこの通達の条件に合えば、外れ馬券の購入費も経費にしてあげますよ。としたわけです。
しかし、これは一般の競馬ファンにはかなりハードルが高い条件ですので、それほど多くの該当者がいるとは思えません。
「一時所得」と「雑所得」の違いについてはまた次回の機会にさせていただきます。
ごめんなさい。
一応、「一時所得」の計算式は次のとおりです。
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除(最高50万円) ×1/2 |
先程の第11レースの結果であれば、
200万円-10万円-50万円=140万円
×1/2=70万円となります。
さて、それでは馬券が当たっていたら、バレるのでしょうか?
どうやってバレる
最近は場外馬券場に行かなくても、ネットで馬券が買えますね。これは銀行データにつながっていますので、税務署さんが情報を得ることは不可能ではありません。まあ、そのやり方はここでは言えませんが・・・。
ネットで購入せずに現金で馬券を買って当たった場合はどうでしょう。一度に何百万円の現金を手に入れたらどうします?銀行に預けますか?それとも何か資産(例えば車)を購入しますか?住宅ローンの繰り上げ返済にあてる?
これは税務署からしたらすぐに見抜かれます。その資金をどこから持ってきたのか?
という説明を求められるからです。辻褄が合わないしどろもどろな説明ではダメですよ。
壁に耳あり障子に目ありです。迂闊に飲み屋さんとかで高額配当が的中した!申告しなくてもバレないだろ。なんて言っていると、結構その情報って税務署に入ったりするので注意です。
SNSも税務署さんはいろんな角度から検索していますからね。
やはり自主的に申告した方がいいですよ。あとでバレて余計な罰金(加算税)まで払うことになると大変です。
おしまい
さて、今回はここら辺で終わりにしたいと思います。
酒のツマミになるかもしれない税金の話でした。
あ、そういえば「ウォッカ」という強い馬がいましたね。ダービー他GIを多数勝った。
お酒で飲むとすぐに酔ってしまいそうですね。やはり私は今夜も焼酎かな・・・。
※文章中の日本語の誤用等がございましたら、誠に申し訳ありません。
コメント