お役立ちコラム

  1. ホーム
  2. 記事一覧
  3. 税金ネタをつまみに…。「買っただけじゃダメ」

税金ネタをつまみに…。「買っただけじゃダメ」

2026.07.08

「いや〜先輩、聞いてくださいよ!今期の利益が予想より出そうだったんで、決算の最終日に慌てて最新のハイスペックパソコンを5台、一括で買ったんです!これでバッチリ今期の経費に落ちますよね。いや〜、滑り込みセーフで賢い節税しちゃいました!」

居酒屋の席につくなり、冷えた生ビールを喉に流し込んで満足げに胸を張る後輩のA君。ジョッキを置いた彼の顔を見ながら、私は手元の枝豆を口に放り込んだ。

「お前、なめてるだろ〜?」

「えっ!?何がですか?ちゃんと決算日までの日付の領収書もありますよ!?」

目を丸くするA君。実は彼のように、個人・法人を問わず、「決算期末までに買いさえすれば、その年度の経費になる」と勘違いしている経営者はめちゃくちゃ多い。

でもね、税金の世界はそんなに甘くないんだ。結論から言うと、「買っただけ」じゃ経費にはならないんだよ。

今夜は、決算間際に多くの経営者がハマりがちな「駆け込み購入の罠」について、テキトーに、でも真面目に語ってみようか。


パソコンはどこにある?「使った時」が本当のスタート

「ええっ!買ったのに経費にならないんですか!?領収書もあるのに!?」A君の焼き鳥を持つ手がピタッと止まった。

「じゃあ聞くけど、その買った5台のパソコン、今はどこにあるの?」

「え?あ、いや……段ボールに入ったまま、まだオフィスの隅に積んであります。設定が面倒なんで、来期(新年度)になってからみんなで開封して使おうかなって……」

「それだよ、それ。それがアウトなんだ」

税金のルールでは、パソコンのような数年間にわたって使うもの(減価償却資産)は、単に「買った日(取得日)」ではなく、「事業のために使い始めた日(事業共用日)」がある年度に初めて経費(償却)として認められる、という超重要な決まりがあるんだ。

つまり、どんなに決算書の日付が期末ギリギリで間に合っていても、段ボールに入ったまま新年度を迎えてしまったら、そのパソコンは今期の経費には1円もならない。新年度の経費になってしまうんだよ。

「ま、マジですか……。じゃあ僕がやったのは、今期の節税じゃなくて、ただ今期のキャッシュを減らしただけ……?」ショックのあまり、A君が頭を抱えてしまった。


必勝法は「余裕の取得」と「年度内の電源ON!」

完全にフリーズしてしまったA君に、私はビールをおかわりしながら、次回から失敗しないためのアドバイスを授けることにした。

「まぁ、終わってしまった今期は仕方ないとして、来期から使える必勝法を教えてあげるよ。対策はシンプルに2つだけだ」

まずは、「決算期末ギリギリの購入は避けて、余裕をもって取得すること」。ギリギリに買うから、配送が遅れたり、設定が間に合わなくなったりして段ボールのまま年を越すことになるんだよね。

そして2つ目は、「買った年度のあいだに、必ず使用を開始すること」。極端な話、パソコンなら決算日までに段ボールから出して、デスクにセッティングして、電源を入れていつでも仕事に使える状態(通電)にしておく。そこまでやって初めて「今期の経費」として認められるスタートラインに立てるんだ。

「なるほど……!『買った日』じゃなくて『使い始めた日』。次からは絶対に決算の1ヶ月前には買って、全員で即開封して電源入れます!」覚えたての知識を忘れないように、A君は手元のメモ帳に必死に書き込んでいる。


今夜のまとめ:経営者としての教訓

「いや〜、形だけ揃えても中身が伴ってなきゃダメってことですね。勉強になりました」

「その通り。居酒屋で『とりあえず生ビール!』って頼んだのに、ジョッキがカウンターに置かれたままで、こっちのテーブルに届かなきゃいつまで経っても喉は潤わないだろ?それと同じさ」

「例えが分かりやすいんだか、テキトーなんだか(笑)」

お金を払っただけで満足してしまうのは、経営者が一番陥りやすい落とし穴。節税は計画的に、そして「使うところまでがセット」だと覚えておかないといけないね。

「先輩、本当に助かりました!……じゃあ、今夜のこのお会計も、僕が『来期の経費』として多めに払っておきますね!」

「いや、今夜飲んだビールは今夜のうちに胃袋で『消費』されてるから、今期の割り勘で頼むよ(税務署より厳しいチェック笑)」

居酒屋の夜は、こうして賑やかに更けていくのだった。

(おしまい)

税金ネタをつまみに…。「買っただけじゃダメ」

カテゴリアーカイブ